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2003.6.15〜6.21
2003.6.8〜6.14

6月7日(土)晴れ
 ブーは朝まで2階の窓辺にいて、みんなが起きる頃窓辺から下りるというか、転げ落ちてきた。呼吸回数は1分間に42回。時々早くなったり大きく深呼吸をする。たまに口をモゴモゴ動かしているのはどうしてなんだろう。朝の薬の前に酸素テントにしたケージに15分入れた。ブーは嫌がって大声で鳴き、ケージの網の隙間から前足を出してもがいていた。ブーが騒いでいたから、ホシとハチがかわるがわる覗きにきた。ブーはホシが覗いても態度は変わらないけど、ハチが覗いた時は、甘えたような声で高めに「にゃーん」と鳴き、ハチから視線をはずさない。本当にハチの事が大大大好きなブー。ハチに頼めば助けてくれるとでも思ってるのかな。ハチといえば、ブーとは関係なしにケージに入りたくてケージに被せてある布やビニールをあちこちめくって入り口を探したりしてる。啓太君は、酸素の量を倍に増やしてブーとハチ2匹一緒に入れたらどうかと提案したけど、酸素がもったいないのでやめといた。ブーにとって地獄の15分間が終わり、外に出して薬を飲ませようとすると、酸素の効果か、いつも以上に猛反発。噛まれたり引っかかれたりして啓太君の手は何箇所も流血した。ブーは暴れたのでまた呼吸が乱れてしまった。仕方なく更に30分酸素テントにいれる事にした。酸素、あんまり意味ないナー。2度目はおとなしく入っていた。前に酸素を補給した時に起きた痙攣はない。あれは一体何だったんだろう。ハチは、酸素テントの前でゴロっと横になって寝てしまった。ブーもハチが見えるところにいるから落ち着いているみたい。30分後、ブーをケージから出してあげると、よたよた歩いてトイレの入り口で横になった。ブーと入れ替わりにハチはケージの中に入って昼寝。完全に自分の小屋だと思ってる。自分の小屋はトイレだと思ってるブーは、ケージから出してもらえてトイレで気ままにすごせる事が本当に嬉しいらしい。名前を呼ぶと「ナー」と小声で返事をしてくれた。頭をなでるとゴロゴロいったが、いつもより弱々しくて、すぐに止まってしまった。
 夜、またブーを酸素テントに入れた。工藤ちゃんに食事の前に酸素を吸わせるといいと言われていたので、しばらくして好物の土佐の焼きかつおをあげるとほんの少し食べた。ブーは、ケージから出たい気持ちは変わってないようだけど、だんだん抵抗しなくなった。その代わり、ケージの中にいる間ずっと鳴いている。ちょこんと座って、まん丸な目で見つめられて、甘えた高い声で「にゃーん」と鳴かれると、そんなに嫌なら出してあげようかなと思ってしまう。いかん、いかん、ブーの甘え作戦に負けちゃダメだー。30分後、たっぷり酸素を吸ってブーは気分がよくなったのか、ケージを出ると2階に行きたがった。階段の下でこっちを見て「ニャー」と鳴いている。そうすれば、抱いて2階へ運んでもらえると覚えたらしい。2階の窓辺の下でまた同じようにこっちを見た。また抱き上げて窓辺にのせてあげると、窓の外をゴロゴロいいながら眺めていた。今夜も一緒にいられるね、ブー。

6月6日(金)晴れ
 昨夜ブーは、一晩中いる場所を変えた。押入れ、窓際、ふと眼が覚める度に違うところにいた。明け方には、1階のトイレにいた。眠れないのか、いつも目はぱっちりとあいている。朝起きると、パソコンデスクの下に横になって倒れていた。目はつぶっていたけど、手足をずっともぞもぞ動かして落ち着かない。そのうち、起き上がり窓辺に飛び乗ろうとして、転げ落ちた。初めての失敗。ブーは諦めたのか、うずくまったまま・・・。エサをほとんど食べてないから体力がなくなってる。一歩一歩ゆっくりと階段を下りて、最後の1段で激しくよろめいた。呼吸数は少し増えて1分間に40回、顔や肩の痙攣はなくなったけど、立っている時に左右に少し揺れている。
 HPで検索して、ブーと同じ病気になった猫の闘病記を読んだ。2歳で発病したという猫ちゃんは、抗がん剤で一時元気になって、走ったりエサも食べたりできるようになったみたい。薬を飲ますのが大変という話には共感した。しかし、発病して3ヶ月弱で亡くなってしまったそうだ。抗がん剤も使ってないブーはもっと短いのかな・・・。
 今日で工藤ちゃんからもらっていた薬がなくなった。工藤ちゃんに電話するとブーを診てくれるというので、連れて行く事にした。ブーはキャリーバックに入れようとすると病院に行くのを察知したのか、嫌がって激しく抵抗した。無理やり押し込んで、いつものように自転車で行った。工藤ちゃんのところでは、再びレントゲンを撮った。どうでもいい事だけど、工藤ちゃんがレントゲンを撮る時、防護服をつけないどころか、まわりに人がいても何も言わない。あっという間にボタンを押して撮っちゃう。その瞬間なんか空気がパッと動くような感じがする・・・それってよくないかも?その上、工藤ちゃんはそのレントゲンをバカチョ○レントゲンと呼んでいる。う〜ん放射能ゲッツ・・・壊れた。
 ブーの状態は相変わらず、良くないと言われた。10日前に撮ったレントゲン写真と比べてみて、肺や腫瘍の事より、激痩せして脂肪がなくなった事にビックリ。工藤ちゃんも他の猫の写真と間違えたのかと思って何度も名前を確かめたけど、やっぱりブーのだった。体重を計ってみると、4.5キロ。10日で1キロも痩せてしまった。工藤ちゃんは、呼吸が苦しそうなブーを見て酸素を使うようにと指示。他に楽にする方法はないらしい。気管を広げる薬とステロイド剤を10日分処方してくれた。あと、ブーはどのぐらいもつんだろう、聞くのは怖かったけど、心の準備もしておきたいし勇気を出してきいてみた。答えは・・・いつ亡くなってもおかしくない、今日家に帰る途中に亡くなる可能性だってある・・・だった。もう泣く気にもならないよー。とにかく一刻も早くブーを家に連れて帰ってあげたいだけ。診察が終わって、キャリーバックを取り出すと、ブーは自分からさっさと中に入ってゴロゴロいった。怖がりでよその人と知らない場所が苦手のブーが病院で初めてゴロゴロいった。それに、猫の学習能力にも驚かされる。キャリーバックに入れば家に帰れるとちゃんとわかってるんだね・・・。自転車が家の前までくると、ブーは突然大きな声で「ニャー、ニャー」と何度も鳴いた。まるで「家に着いたよー、早く家の中に入りたいよー」と言ってるみたい。室内飼いのブーは家の外観なんてほとんど見た事ないのにね。本当に賢いよ、ブーは。
 早速、酸素テントの中にブーを入れた。何度も脱出しようとして、ケージのドアを噛んだり、手を出してもがいていたけど、しばらくするとあきらめた様子でウトウトしていた。楽になったかどうかは言葉が通じないのでわからない。30分ぐらいして出してあげると、すぐにトイレに隠れた。やっぱりそこが好きらしい。啓太君とトイレを酸素テントにできるかマジで話したけど、どう考えても無理。エサは、ちょっと舐めるだけ。仕方ないので、またスプーンで口の中に無理やりいれちゃった。夕食後、ブーは階段の下で上を見上げて鳴いていた。鳴くだけで上がろうとはしない。ブー様のご要望なら喜んで!と、抱きあげて2階に連れて行ったら、今度は窓を見上げて座り込んだ。ハイハイ・・・窓でございますですね?お気に入りの窓辺に乗せてあげると、ブーはいつものように座って夜の風景をじっと見ていた。ずっとそこに居てね、ブー。


6月5日(木)快晴
 朝までブーは窓辺や押入れを転々として、みんなが起きる頃またトイレへと戻っていった。啓太君がホシとハチにエサをやっているとブーもやってきて一緒に座っていたけどエサは食べようとしなかったそうだ。ちなみに私はまだ寝てた・・・。ブーは、今日初めて酸素テントに模様替えしたケージに入って寝そべっていた。ずっと怪しんでいたけど、気に入ってくれたようだ。ちなみにハチはケージが大好きで毎日そこで昼寝をしている。別にハチのために用意した訳じゃないのに。ケージの入り口が閉まっていて中に入れない時は開けてくれと偉そうに要求までしてくる。今日ブーがケージの中に自分から入ったのは、大好きなハチの臭いがついていたからかも。だったら、まんざらハチのやっていた事は無駄じゃなかったかもしれない。ブーはしばらくケージの中にいたあと、またトイレへと戻っていった。少し暑かったのかな。戻っていく時、「ブー」と呼ぶと「ニャー」と返事をしてくれた。啓太君も呼んでみたけど返事はなく、がっくりしていた。息は時々深呼吸してるから楽ではないと思うけど、少し落ち着いていて見た目だけなら調子もそれ程悪くはなさそう。
 夜になってブーは階段の下で上を見上げて不満げに「ニャー」と鳴いた。そして、階段をゆっくりとよじ登りはじめた。真ん中までくるとうずくまって動けなくなってしまった。見ているのが苦しくて、思わず抱き上げてしまった。ブーはしばらく2階で寝ていたけど、今度は1mぐらいの高さの窓辺に上がりたくなったらしい。また、窓の方を見ながらまた「ニャー」と鳴いたので啓太君が抱き上げて窓のところに乗せてあげていた。本当は運動禁止と工藤ちゃんに言われてるけど、ブーの好きなようにするのが一番いいと思っていたから今までは手伝ったりはしなかった。でも、これからは体力を温存するために、できるだけ助けてあげるつもり。
 ホシは今日、水ようかんを美味しそうに食べていた。猫なのに、やっぱり変だ。太るよ、ホシ!


6月4日(水)雨
 朝、ブーにエサをあげると、いつものように嫌がってあまり食べず、おぼつかない足取りで逃げようとしていた。それでも小さいスプーンで3杯程は食べたと思う。息をするとお腹の振幅は激しくなったようにも見えるが、呼吸回数は1分間に36回をキープ。10日ぶりに爪とぎするところを目撃。思いのほか力強くガリガリと音を立てて爪をといでいたけど、すぐにくたばって爪とぎ台の上にへたってしまった。
 午前中、ブーはニャーと1声鳴いたあと階段を上り、2階の押入れに入って寝ていた。押入れの扉の隙間からブーの様子を観察していたら、急に眠くなって、押入れの前で居眠りをしてしまった。目覚めると、押入れにいたはずのブーが側に横になって眠っていた。押入れから出たあとで一休みしていたのか、雨で肌寒い日だから側に寄ってきたのか理由はわからないけど、なんか幸せ。ずっとこうしていられるといいなぁなんて思っていると、ブーはプイっと1階のトイレへと行ってしまった。なぬー!私と一緒に寝るより、トイレの方が居心地いいなんてー。あとで覗くと便器とトイレブラシの隙間で寝転がってゴロゴロいっていた。トイレに負けた・・・。
 午後、トイレの扉の隙間からブーがこちらの様子をうかがっていた。試しにネズミのオモチャを見せると目を丸くして興味ありげな様子。さらにネズミを投げたり、ソファの下に棒をつっこんでガタガタ気になる音を立ててみたら、トイレからよろよろ出てきてしばらく眺めていた。このところほとんどオモチャとか遊ぶ事に興味をなくしてたので、少し安心した。でも、歩くだけで疲れてしまうので、オモチャとじゃれる事もなく、すぐにまたトイレに戻ってしまった。啓太君は今日、写真家のアラーキーが猫をさかさまに抱いているところを撮影した写真を見て、同じように何度もハチをさかさまに抱いていた。ハチは嫌がりもせず喜んで啓太君にゴロゴロスリスリしている。ハチはマゾなので、ちょっと乱暴なのが好き。ホシも逆さにされたけど、一回でこりていた。その様子をブーはトイレの扉の陰から眺めていて、きっとやられなくてよかったと思ったに違いない・・・。
 みんなが2階にいた時、ブーもトイレから出て、休み休み階段を上って二階にやって来た。人間も猫3匹もうだうだ、ごろごろ、ブーが背骨が浮き出るほど痩せている以外は何も変わらない風景。もしかしたら、奇跡が起きて病気が治りはじめたのかも・・・なーんてね。安楽死も考えた方がいいなんて言った工藤ちゃんをいつかびっくりさせてあげたいぞ。もしブーの病気が治ってあと20年生きたら、工藤ちゃんはなんて言うかな?ていうか、工藤ちゃんの方が先にいっちゃうかもーって縁起でもない。ごめんね、工藤ちゃん。

6月3日(火)晴れ
 明け方、ブーは2階に上がってきて押入れに入った。太陽が昇ってとても気持ちいい日なのに、お昼になってもブーはずっと暗い押入れの中。覗いてみると押入れケースの上に置いてあったバーバリーのトートバッグの上に寝転んでゴロゴロいっていた。さすがブー様、お目が高い!そ、そ、そのバッグは正規ルートで日本に5個しか入ってこなかった限定品でございますぞー!!
 午後になって、ホシが押入れに入ってきたので、押入れの中が暑苦しくなった。ブーはよろよろと階段をおりて風呂場へ避難。ゴロゴロいいながら久しぶりに水を飲んでくれた。ブーを押入れから追い出したホシは、5分ぐらいで飽きて出てくると、今度は窓の外に飛んできたトンボに夢中になっていた。窓をあけてあげると身を乗り出しすぎて、勝手にビビったりしてる。情けない。
 夜、ホシがとことこ寄ってきたので、なでてあげようと手を伸ばすと、なぜか胸の辺りがビチョビチョに濡れている。さっきまで二階で寝ていたからヨダレでも垂らしたのかと思って笑っていると、啓太君は真顔でヨダレが垂れる事自体どこか具合が悪いんじゃないかと心配し始めた。ブーの事でちょっと病気に関しては敏感すぎてもいいぐらいと学んだばかり。啓太君はホシの濡れている胸の辺りをクンクン嗅いでみたけど無臭だった。しばらくして、ホシが座って何かをやっている。見ると自分の胸の毛をチュウチュウ吸っているではないか!それでビチョビチョになっていたという訳。もともとホシは自分の手をおしゃぶりする癖がある。母猫が必要な時期に捨てられたので母猫が恋しい気持ちをおしゃぶりして我慢していたのが癖になり、なおらなくなってしまっていた。その上、驚くほど甘えん坊の猫で精神的に弱いところもある。先日10日ほどの旅行で啓太君と二人で家をあけた事があった。その間、ペットシッターさんが毎日家に来てくれてホシは随分と甘えていたときいていたが、旅行から戻ってみるとホシのお腹はハゲて赤くなり血までにじんでいた。寂しさがストレスになってお腹をずっと舐め続けていたらしい。今回もここ1週間ほど毎日ブーの事ばかりかまって、ほとんどホシと遊んであげる事もなかった。だからまた寂しくなってホシは毛を吸ったり体の一部ばかり舐めて我慢してたんだ。ホシ、ごめんね。早速啓太君は、ホシが大好きなヒモをヒラヒラさせて遊んであげていた。
 ブーは良くもならないけど、激しく悪くもならない。息も1分間に36回。普通は20〜30回ぐらいだそうなので、少し早いという感じ。エサも自分からは食べようとしないが、少し口に入れるとちょっと興味を持ってなめたりする。相変わらず、風呂場やトイレにこもってばかり。試しにリビングから「ブー、おやつだよー」とか「ブー、ねずみ投げる?」と呼んで見ると、しばらくしてよろよろ出てきた。そして、部屋を休み休み1周して、「ニャー」と不機嫌そうに一声鳴いてまたトイレへとこもってしまった。不用意に呼ばれて出てきてみたけど、ただ疲れただけだったと後悔したのかも。今夜は、2階にやってくる事もなく暗いトイレの隅でうずくまっている。

6月2日(月)晴れ

 午前中、ブーは2階の机の下に寝転んでいた。ホシはやさしくブーの顔を舐めてあげたりしてると思ったら、今度は理由もなくハチにちょっかいを出して大喧嘩を始めた。ブーが寝ているそばをドタバタ駆け回って、ホシはハチから猫パンチの嵐。ブーは落ち着いて寝ていられなくなって、顔や胸がけいれんしてしまった。ホシのアホ!バカ!ドジ!デブ!
 その後ブーは、押入れの扉を一生懸命あけようとしていた。押入れは、毛が落ちると掃除しにくいので猫立ち入り禁止になっていたけどブー様のご希望なら仕方ない。扉を開けてあげると、奥の方に入ってしばらく隠れていた。

夕方になって、ブーは1階で酸素テントに変身したケージと酸素ボンベを点検していた。突然現れた物体がどうも気になるらしい。その後はソファの側で寝そべっていた。啓太君が「ブー」と呼ぶとブーは「ニャー」と答えた。一瞬幻聴かと思ったぐらい驚いた。ちゃんと返事をしたのは1週間ぶり。すごくうらやましくて、私も試しに「ブー」と呼ぶと同じように答えてくれた。でもその後は何度呼んでも返事はなかった。ブーはやかましいと思ったのか、また風呂場に隠れてしまった。
 
具合が悪くなってからのブーは人間への反応が減ってしまった。名前を呼んだだけでゴロゴロいったらご機嫌、名前を呼んだだけじゃゴロゴロいわないけど頭を撫でてゴロゴロいったらまあまあご機嫌、何をしても迷惑そうに尻尾をふったら不機嫌というぐらいの反応。私がブーの名前を呼んだだけでゴロゴロいったよーと報告すると、啓太君もブーのところへ行って名前を呼んでみたりする。ゴロゴロいわなかった時は、薬を無理やり飲ませているから嫌われたんだと言ってすごく悔しそう。

6月1日(日)雨のちくもり
 今日は近所のフリーマーケットに参加する日だった。ブーがまだ元気な頃に申し込んでいた。初めての参加だったので楽しみだった。でも、よく考えてキャンセルする事にした。フリーマーケットはいつでも参加できるけど、ブーと一緒にいる時間は限られているので一緒に家にいることにした。もしフリーマーケットに行っていたら雨の中待たされた上に中止か、開催されても天候不順で人出も少なかったに違いない。いずれにしても行かなくてよかった。ブーサンキュー。
 そう言えば、フリーマーケットはブーと深い因縁がある・・・。そもそもブーとホシが家に来たのは去年の4月終わりごろ。2匹ともまだ生後2週間ほどの子猫で、家の前の公園に捨てられていたので、最初から里子に出せるようになるまでの間だけ面倒をみるつもりで保護した。1ヵ月ちょっとして離乳したのでブーとホシを近所にある子猫の里親を募集するハウスに入れた。ちなみそのハウスは、引き取り手のいない子猫が入れられるガラス張りの大きな猫の小屋の事で、子猫を見て欲しいなと思った人は隣のペットショップで手続きをすると格安の手数料で連れて帰る事ができる。ハチもこのハウスでもらってきた猫だった。ちょうど1年前の今日、ガラス張りの小屋に入れられたホシとブーは、他の子猫たちが遊んでいるのに本当に借りてきた猫のようにおとなしくてかわいく見えて、これならきっといい飼い主が見つかるだろうと思った。子猫たちと別れてすぐに帰ればよかったけど、その日たまたま目の前でやっていたフリーマーケットを見ていく事にした。しばらくぶらぶらして、帰るときにハウスのわきを通ったので子猫の様子を覗くと、ブーは怯えて隅っこにちっちゃくなっていて、ホシはこちらに気付いてジーっと見つめていた。子猫たちは何故ここにいるのか全く理解してないだろうし、もう迎えにきてもらえない事も知らないんだと思うと切なさがこみ上げてきて、あわててその場を離れたけど、涙まで出てきてあの2匹の事をこれほど好きだったのかと我ながらびっくりしてしまった。家に帰っても2匹の最後の姿が脳裏にこびりついてどうしようもなく、次の日の朝一番でペットショップに電話したら、奇跡的にまだ2匹とももらい手が見つかっていなかった。啓太君にも相談せず、迎えに行くので誰にもあげないでと頼んでしまった。こうして、ブーとホシは正式に我が家で飼われる事になった。あの日、フリーマーケットがなかったら2匹を連れ戻す気にはなっていなかったと思う。あれから1年、ブーとホシはすごい勢いで育っていろんな事を次々と覚えて、いたずらとか喧嘩ばかりするから怒った事も度々あったけど、毎日驚かせてくれたり笑わせてくれたり、疲れた時はホッとさせてくれた。本当にあっという間の最高に賑やかで楽しい1年だった。
 ブーは、昨夜は一晩中、風呂場やトイレにいたらしい。朝、名前を呼ぶとゴロゴロいった。啓太君は薬が減ったので一発で薬を飲ませていた。でもブーの顔は嫌がった時に力が入って痙攣を起こしてたらしい。水でふやかしたドライフードも3つぐらい自力で食べた。午前中テレビの周りで、人も猫もみんなうだうだしてたら、ブーものそのそ歩いてきて一緒にしばらく寝そべって、また風呂場へ戻っていった。啓太君に昨日と今日ブラシをかけてもらっているので、バサバサになっていた毛もつやつや。物音にも敏感で、声をかけたり、ちょっとなでるとゴロゴロというし調子は悪くなさそうにみえる。もしかしたら、このままずっと生きていられるかもという、ささやかな希望さえ持ってしまった。
 午後、蒸し暑くなってきたので啓太君が窓をあけるとハチとホシが外を眺めにやってきた。すると、ブーも風呂場から出てきて同じように外を眺めはじめた。今までは気にも留めなかった日常のこんな姿が今はとても嬉しくて、思わずサンダルをはいて外に飛び出した。本当に猫の額30個分ぐらいの小さな庭で草取りをしながら外からブーの様子を眺める事にした。ブーは網戸越しに外をしばらく眺めて、満足したようにまた風呂場の方へ戻っていった。啓太君は、必死で飲み終えたCCレモンのペットボトルを上手に切って酸素マスクを作った。ふたにもカッターで丸く器用に穴をあけて、ホースがぴったりはまるようにした。そうなって欲しくはないけど、これでいつでもブーの呼吸が苦しくなっても準備は万端!
 夜になって、やわらかくしたキャットフードをスプーンでブーの口の中へ流し込んだ。2、3杯食べるとブーは逃げ出して、リビングの方へ行ってしまった。すると、ソファのわきに置かれた酸素テントと化したケージとペットボトルの酸素マスクの前まで立ち止まり、一度だけ「ムー」と鳴いた。ブーは、ムカつくとそうやってムーと鳴く癖がある。きっと子猫の時ケージに入れられていて出たいのになかなか出してもらえなかった事を思いだしたのかなと話しながら啓太君と笑って見ていた。その後、ブーはエサで汚れた顔を丁寧に洗って再び人間のトイレに帰っていった。その後もトイレに行く度、「ブー」と声をかけただけでゴロゴロいうので、無理やりエサを食べさせた事もそれ程恨んではいないらしい。よかった。しばらくして、啓太君がハチとホシにおやつをあげていると、ブーもトイレから出てきて大好きな土佐の焼きかつおをなめた。こんな日がもっといつまでも続くといいなと心の底から願ってしまう。カーペットの上でゴロっと横になってすやすや眠っているブーを眺めていると、レム睡眠を起こしていた。何かを食べてるように口をモグモグしたり、ヒゲがピクッと動いたかと思うと前足が何かを捕まえるように動いたりした。きっと、夢の中ではおいしい物をお腹いっぱい食べたり、ネズミを捕まえたりして思いっきり遊びまわっているのかもしれない。深夜、ブーは突然階段を自力で2階へと駆け上ってきた。そして、布団の上で少しだけ休むと今度は、高さ1メートルの窓辺にピョンと飛びのった。数歩歩いただけでくたばってしまう時もあるのに、今日みたいに少し元気な姿を見るとこのまま良くなってくれたらいいのにと期待してしまう。頑張れ、ブー。


2003.5.25〜5.31
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